押し込み硬さ(硬度)
-ロックウェル
ロックウェル硬さは、プラスチックの硬さ測定で最も多く使用される測定方法です。
ロックウェル硬さは、押し込み硬さの一種であり、クリープ挙動を取り入れた硬さ測定のため、弾性率、復元性等が加味された物性測定となっています。
スケールはR,L,Mの3種類がございますが、カタログで比較されるのはRスケールが最も多く、次いでMスケールです。規格では適正範囲は50~115としており、100を超える場合は次の硬いスケールで測定することが望ましいと記されています。
HRR50以下は、ロックウェル硬さが適切でないためデュロメータ硬さを選択することが望ましいです。
軟らかい← Rスケール < Lスケール < Mスケール →硬い
スケール | 記号 | 圧子 | 基準荷重 | 試験荷重 |
---|---|---|---|---|
R | HRR | 径12.7mmの鋼球 | 98.07(N) 10(kgf) | 588.4(N), 60(kgf) |
L | HRL | 径6.35mmの鋼球 | ||
M | HRM | 980.7(N), 100(kgf) |
HR=130 - 500h
HR:ロックウェル硬さ
h:基準荷重時を零点とした時の実際のへこみ深さ(mm)
へこみ深さが0mmの時130となり、ロックウェル硬さの最大値となっています。
【試験例】
ロックウェル硬さ測定において、試験片の要求事項は以下の2点です。
1.ヒケのない上下面が平行な平板
2.厚さが6mm以上(できれば厚さは10mm以上、幅12mm以上が望ましいとなっています)
ヒケがない押出板であれば重ねても良い結果が得られます。
【要求事項の解説】
ヒケがあると、試料受台の面に対してすき間が生じ、圧子を押し込んだ際に正確な測定ができないため、ヒケのない平板が必要とされます。
また、厚さが薄いと圧子を押し込んだ時に、下面の影響を受ける可能性が大きいためです。
【問題点 実際の試験片】
熱可塑性材料の射出成形で上記2点を満足する試験片を作製することは、大変難しいです。 ヒケが大きな試験片しかない場合は、DJKではフライス加工を行い、ヒケを除去してから測定しています(加工費用別途)。
また、多くの試験片の厚さは、3~4mmとなっており、ロックウェル硬さ測定用の専用試験片を所有しているところは少ないです。
DJKでは、厚さ3~4mmの試験片を用いる場合、1枚での測定と2枚重ね測定の両データをとり、両者の差がなければ、厚さの影響が少ないとみなしています。
ロックウェル硬さは、元々は金属の硬さを測定する方法です。
DJKでは金属のロックウェル硬さスケールも測定可能。
スケール | 記号 | 圧子 | 基準荷重 | 試験荷重 |
---|---|---|---|---|
A | HRA *1 | ダイヤモンド | 98.07(N) 10(kgf) |
588.4(N), 60(kgf) |
C | HRC *1 | 1471.0(N), 150(kgf) | ||
F | HRF *2 | 径1.588mmの鋼球 | 588.4(N), 60(kgf) | |
B | HRB *2 | 980.7(N), 100(kgf) | ||
G | HRG *2 | 1471.0(N), 150(kgf) | ||
H | HRH *2 | 径3.175mmの鋼球 | 588.4(N), 60(kgf) | |
E | HRE *2 | 980.7(N), 100(kgf) |
[*1 硬さの計算式:100-500h *2 硬さの計算式:130-500h]
ロックウェル-α硬さは、弾性回復を考慮しない侵入深さより求め、ボール押込み硬さと相関があります。
【ロックウェル-α硬さ】
<条件>
圧子:径12.7mmの鋼球(Rスケールと同じ), 荷重:558.4N
<測定手順>
1.銅ブロックを用いて試験荷重の戴荷・除荷を繰り返して一定になる目盛を読み、試験機ばね定数(Ds)を求めます。
2.試料をセットし、15秒時における侵入深さ(Dn)を求めます。
Rα=150 - (Dn - Ds)
Ds:試験機ばね定数
Dn:15秒時における侵入深さ
Rα:ロックウェル-α硬さ
【ボール押込み硬さ (ISO2039-1)】
ロックウェル-α硬さが-20~100の範囲において、下記図の関係式が成立します。
H:ボール押込み硬さ(式1)