誘電率・誘電正接
-低周波領域(自動平衡ブリッジ法)
-低周波領域(変成器ブリッジ法)
-高周波領域(空洞共振器摂動法)
板状・シート状の測定対象に平板電極を接触させ、平行板コンデンサを作製します。作製したコンデンサの静電容量を測定し、比誘電率を算出します。
誘電正接はLCRメータより直接読み取ることが可能です。
比誘電率とは絶縁材料によって作製されたコンデンサの静電容量Cxの、同一電極構成で電極間を真空で満たした場合の静電容量C0に対する比となります。
誘電率とは絶縁材料の比誘電率εrと真空の誘電率ε0との積となります。
装置名 | プレシジョンLCRメータ E4980A (アジレント・テクノロジー製) | |
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測定範囲 | 周波数 | 20Hz~2MHz |
比誘電率 | 1~200 | |
誘電正接 | 0.000001~9.9 | |
温度 | -60℃~200℃ | |
試料形状 | 60×60×t0.1~10mm ※薄い材料についてもご相談ください。 |
[比誘電率]
εr:比誘電率, ε0:真空の誘電率(8.854×10-12F/m), C:静電容量, S:電極面積, d:試料の厚さ
[誘電正接]
D:損失係数, tanδ:誘電正接
空洞共振器摂動法により高周波数の誘電率及び誘電正接を求めます。
(1)ネットワーク・アナライザ
PNA-Lネットワークアナライザ N5230A(アジレント・テクノロジー(株)製)
(2)空洞共振器(周波数毎に大きさが違う)(下記図)
1GHz用(CP431…φ230mm)
2.45GHz用(CP481…φ215mm)
5GHz用(CP511…φ105mm)
10GHz用(CP531…φ75mm)
((株)関東電子応用開発製)
[空洞共振器摂動法の原理]
空洞共振器内部の電界のみ存在する領域に誘電体を挿入すると、共振器の共振周波数とQ値が変化します。(図 1)
この方法により、
・共振周波数の変化から複素比誘電率の実数部(εt)
・Q値の変化から複素比誘電率の虚数部(εtt)が求められます。
εr*:複素比誘電率, εr':比誘電率, εr'':比誘電損率, tanδ:誘電正接
上記の様に比誘電率、および誘電正接を測定します。
試料形状 | 1.5×1.5×高さ80mm以上 ※フィルムは厚さ5μm以上、幅1.5mmであれば測定可能。 但し、帯電フィルムは測定不可。 ※室温条件のみ。 |
試料形状および測定イメージ
一般的に回路基板に使用される材料には低誘電率・低誘電正接が求められます。これは伝送損失や信号速度に影響を与えるためです。
またフィルムコンデンサに使用される材料にはコンデンサの小型化に寄与する高誘電率の材料が求められます。