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■熱伝導率
熱伝導率とは…
熱伝導率(λ)は、物質内の熱の流れやすさを示す物性値です [単位:W/(m・K)]。
物体内に温度差(勾配)が生じたとき、必ず高温から低温に熱の流れが生じます。
この現象を熱伝導といい、熱の流れが定常状態となったときに運ばれる熱量は温度勾配に比例します。
この比例定数が熱伝導率となります。
言い換えると、熱伝導率(λ)は、ある均質な材料に温度勾配があるとき、単位時間中に単位面積を通って流れる熱エネルギー[J]を表す物性値です。
単純化して示すと、ある材料の熱伝導率λが1 [W/(m・K)]で、x軸方向に1Kの温度差があると、1秒当たり1 Jの熱エネルギーが流れることになり、熱伝導率が大きくなると通過する熱エネルギーも増加します。
熱伝導率の測定方法
熱伝導率の測定法は定常法と非定常法に分類されます。
【定常法】
材料(試料)中に定常的な一方向の熱流を作り、熱伝導率を測定する方法。
比較的、単純な原理に基づくため正確な測定が可能ですが、定常状態を保つためには装置面の精密制御が重要となります。
【非定常法】
非定常的に材料を加熱して温度応答を測定する方法の総称を非定常法と呼びます。
材料に何らかの温度変化を与え、その後、ある位置における温度の時間変化を測定し、得られた熱拡散率αから下式により熱伝導率を求めます。
非定常法はバリエーションが豊富で様々な測定手法が開発されています(レーザーフラッシュ法など)。
熱拡散率α [m2/s]と熱伝導率λ [W/(m・K)]は以下の関係にあります。
λ =Cpρα
ここで、Cp:比熱容量 [J/(kg・K)],ρ:密度 [kg/m3]
DJKで対応可能な熱伝導率測定
●温度傾斜法 JIS H 7903(準拠)、ASTM D5470-1(参考)
標準金属ロッドの温度傾斜から、サンプルを通過する一方向の熱流束qを求め、有効熱伝導率を算出します。
●円板熱流計法 ASTM E1530(準拠)
定常比較法とも呼ばれる測定法でASTM E1530では保護熱流計法と表記されます。
●熱線(プローブ)法 JIS R 2616(準拠)、ASTM D5930(準拠)
熱線(ヒーター線)の発熱量と温度上昇量から、熱伝導率を直接測定します。非定常法に分類されます。
●交流定常法 ISO 22007-6(準拠)
温度波による断熱材の圧着式熱伝導率測定です。交流的な温度変化を与え、二点間で伝搬したときの振幅変化減衰と位相の遅れを精密に測定する方法です。
測定方法 | 温度傾斜法 JIS H 7903 |
円板熱流計法 ASTM E1530 |
ニードルプローブ法 ASTM D5930 |
熱線法 JIS R 2616 (ASTM D5930) |
交流定常法 ISO 22007-6 |
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測定装置 | TCM1001 | DTC-300 | LS-1 | QTM-500/-700 | Mobile-10 |
メーカー | ㈱レスカ | TA Instruments | 東洋精機製作所㈱ | 京都電子工業㈱ | ㈱アイフェイズ |
熱伝導率 [W/(m・K)] |
0.5~130 | 0.05~40 | 0.1~1.5 | 0.023~12 | 0.02~0.6 |
測定温度 [℃] |
RT~120 | -20~300 | RT~350 | -60~1000 | RT |
測定対象 | 固体、薄膜、 伝熱コンパウンド |
固体、シート | 溶融樹脂 | 固体、粉体、 溶融樹脂 |
発泡体、断熱材、 粉体 |
標準試験片 | □20 mm×6 mm (t0.01 mm~t15 mm) |
φ50 mm(φ2 in) ×6.35 mm (t0.1 mm~t20 mm) |
ペレット | 100 mm×50 mm以上 (t10 mm~t30 mm) |
20 mm×20 mm以上 (t20 mm~t50 mm) |
※標準形状以外は要相談(試験片成形・二次加工等も承ります)
TCM1001 装置外観(温度傾斜法) TCM1001 測定部(温度傾斜法)
DTC-300 装置外観(円板熱流計法) DTC-300 測定部(円板熱流計法)
LS-1 装置外観(ニードルプローブ法) LS-1用のニードルプローブ
QTM-500 装置外観(熱線法) QTM-700 装置外観(熱線法)
QTM-500/-700(熱線法)の固体用-簡易測定プローブ QTM-500/-700(熱線法)の粉体用-サンプル容器
QTM-500/-700(熱線法)の熱線-細線部 QTM-500(熱線法)のニードルプローブ
Mobile-10 装置外観(交流定常法) Mobile-10 測定部(交流定常法)