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動的粘弾性測定(DMA)

概要
高分子のような粘弾性体は、応力を加えるとバネのように変形のエネルギーを貯蔵する性質「弾性」と、ダッシュポットのように内部で変形のエネルギーを損失させる性質「粘性」の両方の性質を持ちます。
DMAでは固体の試料に周期的な振動を加えて、ひずみを与えることで生じる応力と位相差を検出し、高分子材料の力学的な性質を温度の関数として測定することができます。
ガラス転移温度や貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E“)、損失正接(tanδ=E”/E‘)などの温度依存性や周波数依存性を測定し、高分子材料の動的粘弾性特性を得ることができます。

 

 

 

 

 

測定例
PETフィルムの引張モードでの測定例を以下に示します。(使用装置:DMA850)
1.動的測定(貯蔵弾性率E’ , 損失弾性率E” , tanδ)
1)温度掃引
周波数、歪一定で温度を変化させ、サンプルの温度依存性を測定する
測定条件:RT~220℃, 4℃/min, 1Hz, 歪0.1%

 

2)マスターカーブを作成し、温度依存性、応力緩和、クリープ挙動などを予測する
測定条件:RT~220℃, 4℃/min, 1, 2, 5, 10Hz, 歪0.1%
温度掃引・周波数掃引の同時測定(下図1)を実施し、時間-温度換算則に基づいたマスターカーブを作成します(下図2)。温度掃引のチャートからは、E‘、E”、tanδ、ガラス転移温度(Tg)が分かり、得られたマスターカーブからは、振動吸収性の推定や弾性率の予測をすることができます。さらにソフトウェア上でマスターカーブを変換することで、実際には測定できないような周波数での温度依存性(下図3)や応力緩和(下図4)、クリープ(下図5)挙動を予測することが可能です。

熱分析装置でのTg測定比較
ガラス転移温度(Tg)測定は、通常DSCやTMAなどの熱分析によって測定します。DSCの場合はベースラインのシフトから、TMAの場合は変曲点から算出しますが、ごくわずかな変化である場合も多いのです。ところがDMAでは、これまでに述べた理由により、DSCやTMAなどでは測定できないTgも、E’’のピークトップから測定が可能になります。DMA法によるTgは、DSC法やTMA法のTgよりは数十度高くなりますが、これは測定原理の違いに由来するものです。(引用:高分子分析ハンドブック 日本分析学会(紀伊国屋書店))
PETフィルムを用いた各熱分析装置によるガラス転移温度測定結果を図2と表2に示します。