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動的粘弾性(DMA測定)

特徴

・ガラス転移温度、強度、耐熱性などの特性評価ができ、機械特性の判定に利用できます。
・高分子材料の相溶性、異方性、振動吸収性、結晶化度、分子量、可塑化度、配向度などの評価に応用できます。
・プラスチックの非共振強制振動法による動的粘弾性の温度依存性に関する試験方法(JIS K 7198)が可能です。
・測定ヘッドは4種類用意しました(曲げ・引張・圧縮・ずり)。
・従来の正弦波振動モードの他、合成波振動モードも加わり、ゴム等の弾性率変化が急激に起こる試料にも威力を発揮します。
・1回の測定で5桁以上の弾性率変化をとらえることが可能です。

動的粘弾性試験講座

DMA1

動的粘弾性についてこのページで少々御説明いたします。動的粘弾性試験とは、試験片に振動を与える試験方法です。これによって、例えば、DSCやTMAなどの熱分析では測定されないTgも測定可能です。

試験片の機械的物性を知るためには、一般的には引張、圧縮、曲げなどの試験を行います。つまり、一定方向に一様な負荷が与えられます。動的粘弾性試験の場合、負荷が振動として与えられるので、曲げモードの場合、図1のように試験片をセットします。

DMA2

これに対して加振します。横軸を時間にして表すと図2のようになります。Aが検知部(プローブ)の動き、Bが試験片の動きです。試験片は、プローブの動きに対して、やや遅れて動きます。このずれが試験片のひずみとして得られるのです。Aからは応力が算出されます。応力とひずみから、弾性率が計算できます。

DMA3

式は省略しますが、振動運動ですので、応力は三角関数で表され、ひずみは複素数で表されます。複素数で得られた式は分解することができます。それにより、計算を行うと試験片の弾性的要素に基づく応答と粘性的要素に基づく応答に分けられるのです。

このようにして、温度を一定にして周波数を変える測定(周波数分散)、周波数を一定にして温度を変化させる測定(温度分散)などから得られたデータに基づき、計算によって弾性率やTgなどが得られるのです。

とくにTgの場合、通常はDSCやTMAなどの熱分析によって測定します。DSC(図3(a))ではベースラインのシフトから、TMA(図3(b))の場合は変曲点から算出しますが、ごくわずかな変化である場合も多いのです。ところが動的粘弾性試験(図3(c))では、これまでに述べた理由により、DSCやTMAなどで測定できないTgも測定可能なのです。

DMA4

動的粘弾性試験には、ゴムの反発性、振動減衰能の検討など、この他にも多くの得意分野があります。また、非晶性樹脂の場合、WLF式により外挿を行い、実際には測定できない周波数でのデータを得ることも可能です。