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ボンブ式熱量計(発熱量測定)


概要

ボンブ式熱量計は、発電・エネルギー・食品など幅広い産業分野での熱量測定に利用されています。
試験タイプとしては、物質が完全燃焼したときに発生する熱量を測定する装置です。
DJKの受託サービスの一つとして、消防法危険物判定試験(第二類可燃性固体)で要求されるこの装置での確認試験を実施しています。
測定原理は、ある一定状態(例:1気圧・25 ℃)に置かれた単位量(1 kg, 1m3, 1 L)の試料を、十分な乾燥空気で燃焼させ、その燃焼ガスを元の温度(この場合は25 ℃)まで冷却したときに測定された熱量を発熱量とします。


試験方法

①るつぼに約1 gの試料を秤量後、分解容器内に設置します。
②るつぼ内の試料を点火ワイヤーに結ばれた木綿糸と接触させ、分解容器を密閉した後に30 barの酸素を充填します。
③分解容器を装置に設置した後、試料は点火されます。分解容器内では酸素が高圧充填されているため試料は完全燃焼します。
④燃焼熱は分解容器を取り囲む水に移動して、水温の変化を計測し熱量を算出します。

表1 装置仕様

使用機器 IKAジャパン(株)製 C 200 h auto
試料必要量 10g(金属粉含有、水分量が多いもの、粉体、熱量が低いものは別途調整)
最大測定範囲 4000 J / 9560 calまで
温度センサーの解像度 0.0001 K
分解容器 耐ハロゲン仕様
測定方式 等温式(イソぺリボル式)
規格 ISO 1928, JIS M 8814, 消防法危険物確認試験, JIS K 2279, JAS 0030



測定方式

【等温式(イソペリボル式)】
弊社装置で採用している測定方式です。
外水槽の温度は内水槽の温度上昇に依らず一定に保ちます。発生する熱の移動を測定して、
発熱量が算出されます。
燃焼熱のような、熱量が大きい測定において有効な方式です。


【断熱式(アディアバティック式)】
内水槽の温度上昇に外水槽の温度を追従させて、熱平衡状態に保ちます。
発熱量が既知の試料から、熱容量を決定する際に用いられることが多い方式です。

 

測定が難しい試料

・無機物が多いもの:完全燃焼しないため
・金属粉を含むもの:るつぼや点火プラグが溶けるため
・粉体等の軽いもの:試料を紙で包みますが、着火時に瞬時に飛散し未燃焼物が生じるため
・水分が多いもの:温度が低下して未燃焼物が生じるため
・ハロゲン系のもの:ボンブを腐食させるため(DJKでは耐ハロゲン仕様で実施可能です)

コーンカロリーメーターとの比較

発熱量の測定ではコーンカロリーメーターと比較されることがあります。
コーンカロリーメーターは気体流速中での測定となり、不完全燃焼が含まれる開放空間中の実火災に近く、ボンブ式カロリーメーターは完全燃焼で密閉された炉内燃焼に近いイメージです。
直接の換算は難しいですが、ボンブ式カロリーメーターを用い試料の特性を理解した上で発熱量の傾向を確認することは可能です。

 

用語説明

総発熱量(高位発熱量):燃焼ガス中の水蒸気が凝縮するときに得られる凝縮潜熱を含めた発熱量※指定可燃物の燃焼熱量は総発熱量となります(消防危第114号)

真発熱量(低位発熱量):水蒸気の凝縮潜熱を除いた発熱量
 真発熱量 = 総発熱量 水蒸気の凝縮潜熱×水蒸気量

発熱量使用基準:総発熱量;エネルギー統計、発電所の発電効率、都市ガスの取引基準、
             日本の二酸化炭素排出計算時の発熱量等
        真発熱量;ボイラーの熱効率、原動機の熱効率、コジェネレーションの性能、
             国際エネルギー機関の二酸化炭素排出計算

参考資料

表2 代表的な有機可燃物の燃焼熱

可燃物名 可燃物1g当たりの燃焼熱
(kJ/g)
メタン 50.01
エチレン 47.16
ベンゼン 40.14
PE 43.28
PP 43.31
PS 39.85
PVC 16.43
PMMA 24.89
PET 22.00
PC 29.72
PA 29.58
綿 15.55
木材(かえで) 17.76
新聞紙 18.40
石炭(えき青炭) 35.17

W.J.Parker, NBSIR 81-2427, February 1982

消防研究所研究資料第37号 コーンカロリーメーターによる
    防炎材料の燃焼性状に関する研究報告書 平成93