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絶縁耐力

商用周波数の電圧を、試験片を挟んだ電極間に与え、試料の破壊する電圧を求めます。

絶縁耐力試験装置

絶縁耐力試験装置

耐電圧試験器:100kV絶縁破壊試験装置YST-243-100RHO (ヤマヨ試験器)
       ※油中では、RT~200℃までの温度依存性試験ができます。

試験方法

短時間法 平均10~20秒で絶縁破壊が起こるような一定速度で印加電圧を加え、絶縁破壊を生じたときの電圧を、その試験片厚さで除して求めます。
段階法 短時間法によって破壊電圧を求め、その40%に近い電圧を選び、この電圧が20秒間加えても破壊しなければ規定の段階電圧に従い順次高い電圧20秒ずつ加え破壊するまで続けます。
破壊しなかった最大電圧を絶縁破壊電圧とします。
1分間耐電圧 なるべく速やかに試験電圧まで一様に上昇させて、1分間耐えるかを評価します。
長時間耐電圧 試験電圧を変えて1分~100時間程度で破壊する時間を測定します。

 

試験条件

試験規格 昇圧速度 主な電極形状 試料形状(推奨)
IEC 60243-1 100, 200, 500, 1000, 2000 V/s
上記のうち10~20sで破壊する速度
Φ25mm円柱/Φ25mm円柱
Φ25mm円柱/Φ75mm円柱
100×100×t1mm
ASTM D149 Φ25mm円柱/Φ25mm円柱
Φ25mm円柱/Φ75mm円柱
Φ25mm円柱/Φ50mm円柱
100×100×t1~2mm
JIS C2110 10~20sで破壊する速度 Φ20mm球/Φ25mm円柱
Φ25mm円柱/Φ25mm円柱
Φ25mm円柱/Φ75mm円柱
Φ6mm円柱/Φ6mm円柱
100×100×t1~2mm
JIS K6911 Φ20mm球/Φ25mm円柱 100×100×t2mm

試験雰囲気

絶縁破壊試験では、試験雰囲気の選択が重要です。板状の試料では、絶縁油中で行う場合が多いです。絶縁破壊電圧が高いため、空気中では試料表面に放電し、破壊せずに短絡してしまいます。 フィルムは、A4サイズ程度の大きな試験片を用いて、空気中で行うことが多いです。

絶縁破壊とは

自由に動き回れる電荷担体をほとんど持たない絶縁体に高電圧を負荷することにより、絶縁体内に電荷担体が急増して導体になる構造変化をいいます。絶縁破壊には、短時間で破壊する短時間破壊と、長時間を要する長時間破壊(絶縁劣化)があります。短時間破壊には、主に三つの破壊機構が提案されています。

1.電子なだれ破壊
高分子中に少量存在する電荷が、印加される電圧により加速され、高分子中の原子、分子に衝突し、電荷の数が増大し、なだれ的に絶縁破壊に至ります。

2.純熱破壊
高分子中に印加される電圧により、電流が流れ熱が発生し(ジュール熱)、放熱を上回ると、高分子中の温度が上昇し、高分子構造が変化し破壊に至ります。

3.電気力学的破壊
高分子中に電圧を印加すると、各電極面に正負の分極を生じます。これら分極の引力(マックスウェル応力)により、試料厚さが減少し、破壊に至ります。

プラスチックの絶縁破壊強さは、温度および周波数が高くなるほど、低下します。また、誘電率が大きい材料ほど、絶縁破壊強さは低下することが知られています。