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■ソルベントクラック試験 -1/4楕円法
概要
ソルベントクラックは、一般的に環境応力亀裂(ESC:Environmental Stress Cracking)と呼ばれ、プラスチック材料に発生する破壊現象の一つです。ケミカルクラックとも呼ばれています。これは、材料に加わる機械的応力に加えて、溶剤・油・界面活性剤・その他の化学薬品の影響を受けることで、クラック(ひび割れ)が生じる現象です。

ソルベントクラックの発生機構は次のように考えられています。プラスチック成形品に化学薬品が接触すると、薬品中の溶剤が成形品内部へと浸透(拡散)します。溶剤の作用により、ポリマーの分子鎖が可動性を増し、その状態で応力が存在すると、局所的にひずみ(応力)が緩和されます。この局所的な応力緩和が進行することで、クラックが発生します。1)

参考文献)
1)本間 精一, プラスチック製品の強度設計とトラブル対策, エヌ・ティー・エス, 2018
DJKの1/4楕円試験では、長軸127 mm・短軸38.1 mmの1/4楕円形状の治具円周上に沿って試験片を取り付けます。この構造により、1本の試験片に対して連続的に変化するひずみ(応力)を付与できるため、クラックが発生する限界ひずみを測定できる点が大きな特長です。
試験中は、試験片に化学薬品を塗布したり、高温・高湿などの環境にさらしたりすることで、クラックの発生有無を評価します。ISO規格やJIS規格に明確な規定はありませんが、薬液に対する材料の臨界ひずみを評価する手法として、実用性が高く、広く使用されています。

試験方法
弊社の推奨試験片は、長さ127mm以上、幅15mm以下の短冊形状です。試験片の厚さは材料の剛性によりますが、弊社で射出成形可能な厚さ1.6 mm/2.0 mmで実施することが多いです。製品や圧縮成形品から、打抜き加工や切削加工により試験片を作製することも可能です。
薬品と接触させる方法としては、試験片に直接筆で薬品を塗布する方法や薬品を含浸させた不織布を載せる方法があります。他にも、試験冶具ごと薬品に浸漬したり、恒温恒湿槽で温湿度を掛けて処理することも可能です。

臨界ひずみの算出方法
クラックが発生した場合、一番ひずみの小さい箇所のクラック発生位置を読み取り、以下の式により、臨界ひずみ(%)を算出します。

ε: 臨界ひずみ(%),a: 長軸の長さ(=127 mm),b: 短軸の長さ(=38.1 mm)
t: 試料厚,X: クラック発生位置
測定例
ひずみの異なるPC樹脂片を用意し、トルエン、エチレングリコールで1/4楕円試験を行った結果を表2に示します。内部(残留)ひずみの異なる2種のPC樹脂片を用意しました。PC①に比べ、ひずみが大きいPC②は、臨界ひずみが小さい値となりました。内部ひずみが大きい方が、耐ストレスクラック性が低い傾向が見られました。


参考例:身近なソルベントクラック
ソルベントクラックは、日常生活の中でも見られることがあります。例えば、プラスチック製の洗剤容器や化粧品ボトルなどに、内容液の成分(アルコールや界面活性剤など)が長時間付着したり、応力がかかった状態で保管されたりすると、表面に微細なひび割れが発生することがあります。これもソルベントクラックの一例であり、製品の外観劣化や強度低下につながる可能性があります。
